父ががんを切除する手術をうけました
手術した後に荒ぶる父
いったいなにが起こったの?
『術後せん妄』というのがあることを知ったのは、手術した日の二日後でした
病棟からの電話で、父が看護師さんに手を上げてしまったと
なにがどうしてそんなことに?
突然の出来事でパニック状態になってしまいました
こういうことが起こるんだ、ということを知っておけばなにかの対策ができたのかもな
そんなことを思ったので書き残しておこうと思います
誰かの参考になればうれしいです
なんて書いてるけど、大変だったこと聞いてもらいたい願望です
手術後のせん妄、家族としてどう受け止める?
がん切除の手術
化学療法で治療をはじめて約半年
がんが小さくなってくれればと期待したものの
やはり取り除かなければ今後食事ができなくなるということで
直腸、S字結腸、肝臓転移部分のがんを切除して人工肛門にする手術をすることになりました
手術後はストーマでの生活になります
「脳梗塞」の治療中で血液サラサラのお薬を常に飲んでいるので
手術とは相性抜群に悪いからだの状態であったり
なにかのタイミングで「心不全」を再発してしまうかもしれない
そんな状態のリスクの多い手術ですので
年明けてすぐから手術までの間にさまざまな検査をし
2月に約8時間半におよぶ手術を受けました
手術は無事に終了
ほっとしました
手術した先生から「切り取ったがんの部分見る?」って聞かれたのでみせてもらったら
もの凄い量の肉のかたまり
大きめの座布団ができるんじゃない?ってくらいの大きさでびっくり
ビニール手袋を渡されて「がんの部分触ってみて」と言われて恐る恐る触ってみると
ゴリゴリゴツゴツした感触
「がんってこんなに硬くなるんだよね」って先生
「この固い部分に食べたものが詰まると腸閉塞をおこしてしまうんだ」
手術前から聞いていましたがそういうことなんだって本当の意味で実感しました
手術後の身体拘束
長時間の大きな手術で父の意識が戻るまではもう心配でたまらなかったです
戻ったという知らせがあった時はほんとうにうれしかった
今回もコロナ禍ということで病室には入ることができず
看護師さんから状況を報告してもらわなければ父の状況を確認することができません
この状況は家族としてはしんどいところです
手術ではがん切除のあと、生命を維持するため体にたくさんのチューブを取り付けます
患者さんは意識が戻ってくると違和感があるこのチューブを外そうとしてしまうんだそう
チューブは外れると命取り
看護師さんからは
「状況によってはチューブ引き抜きを防止するため手にグローブをはめさせてもらいます
体も動かすとチューブが取れてしまうし、ベッドから落ちないようにするためにも体をゆるく拘束させてもらいます」
と説明をうけました
そして承諾書へのサインもうながされます
そういうことなら、こんな状況なら、仕方がないよな...
「体を拘束する」ということを聞くとあまり気持ちのいいことではありません
父の気性を考えると、これはとんでもなく嫌がるだろうな...
前回の入院時もこれの拘束で父と看護師で言い合いになったとか、そんなことも聞いていましたし
どうしようかと思いましたが命に代えられないから...
そう思って拘束が必要になっても極力ゆるめにしてほしいことを伝えてサインをしました
手術後のせん妄がつらい
術後の経過は良好で、手術を受けた2日後には電話で話ができるように
手術直後の眠っていた父の姿しか見ていなかったので本当に安心しました
ですがこの後、懸念していたことが起こります
「体のチューブを取ろうとしてしまうし、
勝手に立ち上がろうとしてしまうので体をベッドに固定させてもらいました
今後もゆるめにはしますが固定させてもらいます」
看護師さんからそんな連絡が入りました
あ~やっぱり拘束されてしまうか…
この状態になることはできればやめて欲しいな
とは思っていたもののしかたが無いと思い承諾しました
その後再び連絡が
「暴れて看護師に手を上げたりもするので
術後に起こるせん妄だと思いますが固定は継続させてもらいます」
このときはじめて術後せん妄というものがあることを知りました
なんだそれ?
しばらく後に父からも電話がきて
「おまえこの状況なんとかしろ!病院変えろ!」と
父が言うことには、ベッドだけでなくて車いすで移動する時にも
体を固定されて3時間もナースステーション前に放っておかれたと
このあとしばらく父との電話は
自分の置かれている状態がひどいという苦情とともに
いきなり怒鳴りつけられたりということが続きました
夜中にかかってきこともありました
もうどうしたらいいのかわかりません
コロナ禍で入院中の病棟に家族は入れないから
起こっている状況は看護師さんと父から聞くしか無いのです
看護師さん側からすれば体を拘束しないと危ないという判断なのでしょう
他の患者さんもいらっしゃるわけで、父につきっきりというわけにはいきませんから
動かないようにしておかなければという状況も理解できます
ですが身体拘束されて一日中体の自由を奪われて滅入ってしまう
父の姿を想像するとつらくてたまりません
看護師さんの言い分
父の言い分
どっちも分かるから、どうしたらいいのかわからないジレンマに悩まされます
これが本当に一番つらかったです
看護師さんに状況の説明を乞い、拘束も極力ゆるめにと要望を伝えに
病院へ相談もしに行ったりしました
看護師さんからしてみると
術後のせん妄は想定内のことだから大した問題ではないんだよと言っていただいているようで
迷惑をかけているな、という気持ちもあって
ほっとしたような
だけどこちらの言い分を受け入れられないような
なんとも釈然としない複雑な心境になりました
もともと気性は荒めの父ですが最近は歳のせいか穏やかだったのです
この拘束状態でよけいに攻撃的になっているのかもとも感じてしまいます
ただ、いつも怒っているわけではなくてその日の電話は違いました
あ、電話かかってきた、今日も怒鳴られるのかな…
でも誰かが話を聞かないと父も参っちゃうもんな…
よしっ!って覚悟を決めて電話を取って罵声を待ち構えました
だけどいつもより口調か穏やかで
「今日はちょっと暖かかったね」だって
なんだよもう。。。泣けてしまいました
いろんなことがありましたが無事退院
1ヶ月以上はかかるだろうと言われていた入院期間を一週間ほど前倒しして退院
お医者さんが言うには、もう少し様子を見たいし、
新たに父に取り付けられたストーマの使い方に慣れて欲しい
ということで退院を先延ばししてほしいということだったのですが
もう父が我慢の限界だったよう
ずーと家に帰らせろって言い続けていたから
退院後しばらくして、冷静になった状態で入院中の状況を父にたずねてみると
車いすとベッドに括り付けられて、身動きが取れない状況だったのがとんでもないと怒ってました
無意識な状態ではなかったんだな
やみくもにどなりちらしていたわけではないんだな、と改めて感じました
でも看護師さんはかなり面倒だったろうなって
自分がその立場だったら務まらないだろうなと思い感謝の念が沸きました
これからストーマと、2週間おきの抗がん剤治療の生活が始まります
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